不動産を契約するとき、賃貸にしろ分譲にしろ『重要事項説明』ってあるじゃないですか。
あれって近所トラブルも説明義務に入ってるんでしょうかね?
というのも、昨日、朝の情報番組ビビット(TBS系、真矢みきと国分太一が司会のヤツ)の中の法律相談でこんな事例を取り上げてました。
目次
一戸建て購入、重要事項説明に気になる一文
3人の子供がいるご夫婦が中古の一戸建てを購入。
庭もあり子育てにはなかなか良さげな物件。
しかし購入の際、不動産会社から受ける重要事項の説明で気になる1文が・・・
隣接地の住人から騒音等による苦情がありました
これについて夫婦が説明を求めると、
不動産会社:「前の住人が子供と庭でバーベキューをしたとき1度だけ隣人に”うるさーい!”と注意されたことがあったので念のため書かせてもらっただけですよ」
夫婦:「じゃぁ、大丈夫なんですか?」
不動産会社:「問題ありません」
この言葉を信じ、この一戸建てを購入し越してきたこのご夫婦、引っ越し準備の段階から隣人からいやがらせを受ける(どんな嫌がらせかは明らかにしなかったけど)。
隣人は年配の男性で大の子供嫌い。
実は前の住人が2年半でこの家を売って出て行ったのもこの隣人の嫌がらせが原因。
夫婦は「話が違う」と売買契約の取り消しを訴える。
が、不動産業者側は「隣の人が苦情を言うことは重要事項説明書にもちゃんと書いてある」と非を認めない。
売買契約、取り消せる?取り消せない?
この売買契約の取り消しは認められるのか否か?
街の人の声は、
取り消せる派:
「最初に説明を受けた以上のことが起きてるので取り消せる」(20代女性)
「買った人が不利益を被る場合は売買契約を取り消せる決まりがあるはず」(30代女性)
取り消せない派:
「書面で契約を交わしている。不動産会社の”大丈夫”はあくまでも口頭のため法的拘束力はない」(30代女性)
「子どもがいてうるさいのならうるさくないように協力すべきだし、1回契約してしまったものは簡単に取り消せないんじゃないか」(10代女性)
最後の女性は美容室帰りの女子大生、こんなトシハもいかない小娘に聞いても・・・。
まぁ、子供を持つ母親の苦労など知る由もないだろうな。
私も子供いないからわかんないんだけど、子供ってうるさくないのはむしろ異常だぞ。
で、街の声はこんな感じ。
取り消せる:63%
取り消せない:37%
売買契約、取り消せると思ってる人の方が多い。
バッカだなぁ~・・・
取り消せるワケないじゃん!
あのね、不動産売買ってのは買う側が不利なんだよ!
ええ、契約日当日に価格をつり上げたりしても違法じゃないんだから買う側の主張なんてナンダカンダで言いくるめられて終わりだよ、と過去のトラウマを思い出し、いくぶんヤサグレた気分で見ておりました。
ちなみにスタジオ内の意見はこんな感じ↓
住めなくなったからお金を返してほしい、と言われても・・・
じゃ、この売買契約は取り消せるのか、取り消せないのか?
答えはこちら↓
取り消せないっす。
菊間千乃弁護士(元フジテレビアナウンサー)がご丁寧に説明してくださいます。
え”~、菊間って以前ジャニーズの未成年と酒飲んで謹慎くらった人でしょお?
そんな人の言うことなんて信じらんな~い!
なんて言っちゃいけませんよ、そこのアナタ(ワタシですが)
この本によると菊間元アナはすっげー勉強して司法試験に合格したんだから。
菊間元アナ、現弁護士の説明によるとこれは実際にあった判例で実際は売買契約の取り消し、というより
「住めなくなったから全額お金を返してほしい」という賠償請求。
そりゃ、無理ずらぁ~と思うが。
やっぱり無理でその理由はこんな感じ↓
前の持ち主は2年半は住んでいたし、他にも隣人はいるけど居住できている、ので住めないわけじゃないでしょという理由。
どうやら、問題の隣人は子供がとにかくキライらしい・・・
確かになぁ、うるさいっていやぁうるさいもんなぁ。
うーん、そのうち成長するだろうけどな。
重要事項説明では原則、隣人の説明不要
買った夫婦は重要事項説明で隣人の嫌がらせの説明を受けてなかったことを問題にしていましたが、
宅建業法では
重要事項説明で近所にどんな人が住んでいるかまでは説明する必要がない
そうだよね、個人情報の漏えいにつながりかねないもん。
ただし・・・
購入希望者に重大な不利益をもたらすおそれがある場合や誤信させるような説明は許されない
だそうで・・・このあたりの日本語わかりづら。
かいつまんで言うと
買い主は3人の子供がいるので「隣人が子供嫌いで嫌がらせをする」、ということを事前に知っていれば買わなかった。
内見中に怒鳴り込んできた隣人
実際、この夫婦の直前にも子供連れの家族が内見に来た際にこの隣人が怒鳴り込んできたため契約が流れてるそうです。
前の持ち主には「子供がうるさい」と怒鳴り込んで来たり水を撒いて来たり泥を投げ込んで来たり。
これらのことを知っていたにもかかわらず伝えてなくてバーベキューの1件だけをサクッと伝えたのみ。
ってことで不動産業者側の説明義務違反もあり価格の一部は返金が認められたそうです。
その金額は価格の20%、456万円。(ってことはこの一戸建てって2500万円くらい、大阪だしな)
この金額の根拠は
「本件不動産は隣人がいない場合の価値と比較して20%相当額が減価していると認められる」
という説明。
もっと平易で簡明な日本語にはできないのだろうか。
裁判所でも意見が分かれる事案
この件は最初大阪地裁で取り上げられたとき、この訴えは棄却(ダメってことらしい)され訊いてもらえなかったようです。
で、その上の高裁とやらに持っていったら一部認められたので裁判所の中でも意見が分かれる事案のようです。
全額返金はどう考えてもムリなような気がするけどそれを訴えるところがさすがは大阪、というべきか。
でも、こういうの訴えて認められることもあるのね。
迂闊に泣き寝入りしちゃいかんね。
この記事を書いた人
都内賃貸から隣接する埼玉4区に分譲を買い引っ越したものの、ビックリするくらいこの街が馴染めず、現在絶賛外出恐怖症。埼玉4区適応障害の東京ホームシック。ガチで東京リターンを模索中・・・しかし、首都圏相変わらずの物件価格高。年齢的に賃貸は無理ぽ。住宅ローンに最も嫌われるフリーランスのお一人さまは今後どうする?